最終更新日 2024年11月15日

投資家の中でも、創業してまだ日が浅い企業に投資する人をエンジェル投資家といいます。
創業して間もなく株式市場に上場していない企業は、資金集めに困っています。
多くは銀行から融資をもらったり国や自治体の援助を受けたりしますが、個人から投資してもらうスタイルがエンジェル投資です。

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エンジェル投資家になる方法

企業にとっては大きな資金源になるので数百万円単位のお金が必要ですが、最近ではクラウドファンディングを通して数十万円単位の投資でもエンジェル投資家になれます。
投資をしたリターンとして得られるものは株式です。
株式市場に上場していないため、店頭有価証券として扱われます。
通常の株式のような手軽な取引を行うことはできず、持っているだけでは1円の価値にもなりません。
ただし無駄な物というわけでもなく、投資した企業が成長していけば大きな利益を生む可能性があります。
企業の規模が拡大していくことで市場に上場し、元々持っていた株式を売って利益を得るというメカニズムです。
出資額の数十倍もの価値を作り出すことも少なくなく、リターンの大きさはとても魅力的に見えます。

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日本では税制上で優遇されることもある

また日本ではベンチャー企業の発展を促進したい考えがあるため、税制上で優遇されることもあります。
企業側と投資家の両方が条件に当てはまる必要があり全ての投資家が優遇されるわけではないものの、節税目的でエンジェル投資家になっている人もいます。

出資する企業を見つけたい場合

出資する企業を見つけたい時は、ピッチコンテストやマッチングサイトなどを利用すると良いです。

ピッチコンテスト

ピッチコンテストとは創業して間もない企業が実施するプレゼンテーション大会で、優秀なプレゼンテーションには賞が贈られます。
賞の内容は支援金だけでなく、投資家とのマッチングが含まれています。
企業にとってはエンジェル投資家と出会えるとても良い機会なので、ピッチコンテストでは事業内容や経営方針などを詳しくアピールします。
準備に時間がかかるなど少し手間がかかる大会だからこそ、出資する価値があるかを見極める良い判断材料になります。

マッチングサイト

マッチングサイトは企業と投資家が登録するだけで希望する相手を見つけられるので、手軽な方法としてよく利用されています。
月額無料で利用できるサイトもありますが、質の高さを優先すれば月額をいくらか払いましょう。
匿名性があるマッチングサイトは月額料金が高めで、信用性に欠ける部分があります。
実名制マッチングサイトは月額料金もリーズナブルで、情報を偽ればすぐに発覚するため怪しい話に巻き込まれる心配が低いです。
企業側は投資をしてもらいので、経営者としてのビジョンなどを熱く語っています。
どこも同じような内容になりがちですが、将来成長できると予想できるところを選ばなければなりません。

バリュエーションと調達したい資金額は明らかになっている方が良い

バリュエーションと調達したい資金額は明らかになっている方が良いです。
特に資金調達に関しては、少なすぎても高すぎても不安材料になります。
金額が少なすぎる場合、その小金のために株式を放出する必要はないと考えられるためです。
反対に高すぎれば、将来企業が成長しても経営者の議決権が希薄化して1株あたりの価値が低くなり株式を所有した時の利益が小さくなるのではないかと考えられます。
調達したい資金額と用途を明記している企業を厳選することが大切です。

エンジェル投資家のデメリット

もちろんメリットがある分、デメリットも存在します。
エンジェル投資家になっても、通常の投資家と同じように損失が出るリスクは付きまといます。
特に創業したばかりの実績のない企業に投資するため、数十年後の業界で生き残っている保証はありません。
中小企業庁のデータでは中小企業の60%は5年以内に倒産または廃業しており、出資先が生き残っている確率は低いです。
倒産してしまっては、もらった店頭有価証券は紙くずになりリターンどころかマイナスになります。

投資家は本当にその力があるかを判断する必要がある

事業を始めた創業者たちは将来の展望に目を輝かせてアピールしますが、投資家は本当にその力があるかを判断する必要があります。
またマッチングサイトは人脈を広げるのに効果的ですが、企業と投資家の距離が近づきすぎる問題が発生しやすいです。
しっかりとしたビジョンを持った創業者はこだわりが強く、マイルールに従って事業を行っています。
エンジェル投資家は自分も経営に精通しているベテランであることが多く、若手創業者たちのやり方に口を出したくなりやすいです。
事業拡大のための有益なアドバイスであっても、創業者からすれば自分のやり方を否定されたと反感を抱くきっかけとなります。
出資すれば経営権の一部を握ったような立場になれますが、創業者たちに自由に経営させることはトラブルを予防することにつながります。

まとめ

投資家たちは利益が出ることにこだわるので、利益が出そうにない経営に反発しやすいです。
しかし小さな会社が大きくなるには数十年単位もの長い時間がかかるため、あまり効率を求めすぎずに気長に待つ気持ちを持ちましょう。